玉虫日記 牡丹
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2008.04.26 (Sat)

牡丹




ボタン、すなわち牡丹は中国の原産であるが、今は日本はもとより西洋諸国でも栽培(さいばい)している。
 だれでも知っているように、きわめて巨大な美花(びか)を開くので有名である。今その栽培してあるものを見ると、その花容(かよう)、花色(かしょく)すこぶる多様で、紅色、紫色、白色(はくしょく)、黄色などのものがあり、また一重咲(ひとえざ)き、八重咲(やえざ)きもあって、その満開(まんかい)を望むと吾人(ごじん)はいつも、その花の偉容(いよう)、その花の華麗(かれい)に驚嘆(きょうたん)を禁じ得ない。
 牡丹(ぼたん)に対し中国人は丹色(たんしょく)の花、すなわち赤色(せきしょく)のものを上乗(じょうじょう)としており、すなわち牡丹に丹の字を用いているのは、それがためである。また牡丹の牡は、春に根上からその芽が雄々(おお)しく出るから、その字を用いたとある。つまり牡は、盛(さか)んな意味として書いたものであろう。今はどうか知らぬが、昔は中国のある地方では、それが荊棘(いばら)のように繁(しげ)っていて、原住民はこれを伐採(ばっさい)し燃料にしたと書物に書いてある。
 牡丹はキツネノボタン科に属するが、この科のものはみな草本(そうほん)であるにかかわらず、独(ひと)りこの牡丹(ぼたん)は落葉灌木(らくようかんぼく)である。草木(そうほん)なる芍薬(しゃくやく)に近縁(きんえん)の種類で、Paeonia suffruticosa Andr. の学名を有している。この種名の suffruticosa は、亜灌木(あかんぼく)の意である。また Paeonia moutan Sims. の学名もあるが、この種名の Moutan は牡丹の意である。そしてその属名の Paeonia は、Paeon という古代の医者の姓名に基(もと)づいたものである。牡丹根皮は薬用となるので、それでこの医者の名をつけた次第(しだい)であろう。
 日本では牡丹の音ボタンが、今日の通名となっている。
 古歌にはハツカグサ、ナトリグサの名があり、古名にはフカミグサの名がある。右のハツカグサは二十日(はつか)草で、これは昔、藤原忠通(ただみち)の歌の、


咲きしより散り果つるまで見しほどに
  花のもとにて廿日(はつか)へにけり


 に基づいたもので、つまり牡丹の花の盛りが久しいことを称(たた)えたものだ。
 一つの花が咲き、次の蕾(つぼみ)が咲き、株上のいくつかの花が残らず咲き尽(つ)くすまで見て、二十日(はつか)もかかったというのであろう。いくら牡丹でも、一輪(りん)の花が二十日(はつか)間も萎(しぼ)まず咲いているわけはない。
 中国では、牡丹(ぼたん)が百花(ひゃっか)のうちで第一だから、これを花王(かおう)と唱(とな)えた。さらに富貴花(ふうきか)、天香国色(てんこうこくしょく)、花神(かしん)などの名が呼ばれている。宋(そう)の欧陽修(おうようしゅう)の『洛陽牡丹(らくようぼたん)の記』は有名なものである。
 牡丹は、樹(き)の高さ通常は九〇~一二〇センチメートルばかりに成長し、まばらに分枝(ぶんし)する。春早く芽が出(い)で、葉は互生(ごせい)して葉柄(ようへい)があり、二回、三回分裂して複葉(ふくよう)の姿をなしている。五月、枝端(したん)に大なる花を開き、花径(かけい)およそ二〇センチメートルばかりもある。花下(かか)にある五萼片(がくへん)は宿存(しゅくそん)して花後(かご)に残り、八片(へん)ないし多片の花弁(かべん)ははじめ内(うち)へ抱(かか)え込み、まもなく開き、香(かお)りを放って花後に散落(さんらく)する。花中(かちゅう)に多雄蕊(たゆうずい)と、細毛(さいもう)ある二ないし五個の子房(しぼう)とがあり、子房は花後に乾(かわ)いた果実となり、のち裂(さ)けて大きな種子が露(あらわ)れる。
 多くの年数を経(へ)た古い牡丹にあっては、高さが一八〇センチメートル以上にも達して幹(みき)が太くなり、多くの枝(えだ)を分かち、たくさんな葉を繁(しげ)らし、花が一株上に数百輪(りん)も開花する。私は先年、この巨大な牡丹を飛騨高山(ひだたかやま)市の奥田邸(てい)で見たのだが、この株(かぶ)はたぶん今でも健在しているであろう。これはその土地で、「奥田の牡丹(ぼたん)」と評判せられて有名なものであった。たぶんこんな大きな牡丹は、今日(こんにち)日本のどこを捜しても見つからぬであろう。もし果たしてそうだとすれば、これは日本一の牡丹であると折(お)り紙(がみ)をつけてよかろう。もしも高山(たかやま)市へ赴(おもむ)かれる人があったら、一度かならずこの大牡丹(おおぼたん)を見て来(こ)られてよいと思う。
牧野富太郎著【植物知識】牡丹の項抜粋
22:12  |   |  トラックバック(0)  |  コメント(12)

Comment

No title

ご無沙汰しました!
牡丹といえば、島根の大根島を思い出します。
にくらしいぐらい華やかやねぇ。

今日は姫路城界隈を歩きましたが、
好古園というお庭がすっごくよかったよ。
miya |  2008.04.26(土) 23:22 | URL |  【編集】

No title

うわあ!なんて綺麗!
上手いですねぇ写真の撮り方が
やっぱりバックが黒だと更に綺麗さが引き立って ^^
あぁ本当に綺麗^^
mame-neko3 |  2008.04.26(土) 23:49 | URL |  【編集】

No title

今年もまた、我が家にも、ボタンの花が咲いてくれました。
艶やかな大きな花です。一見派手なんだけれど、何処か奥ゆかしさも併せもった心ひかれる花です。
よっしー |  2008.04.27(日) 06:14 | URL |  【編集】

No title

ボタンさんには 悪いけど(笑)
私は ボタンの ぼたぼたっとした感じが
あまり好みではないのですが~
玉虫さん撮影のボタンは
どれも すっきり さわやかな風情で いいですね(^▽^)V
non |  2008.04.27(日) 07:42 | URL |  【編集】

No title

牡丹すばらしく綺麗に撮影してありますね~
さすが玉虫さんだ~~
ぼくは赤色と白色の花を写すのが苦手なんです
すぐに色とびしちゃうから・・
そのてんこのあか、白の牡丹はしっかりした色合いで
お見事で~す。うらやましい~~
トヨ |  2008.04.27(日) 10:04 | URL |  【編集】

No title

miyaちゃんお疲れさまぁ♪
お菓子博行って見たいんだけどねえ・・・
来月半ばに台湾で末が小豆島・・ちと無理(T_T)
好古園?お菓子に関係あるん?
あ、お花があるのかな??お抹茶とセット??*^-^*
姫路城はものすごーーく巨大なお城やから
あれこれ楽しめそうですね。ありがとう♪
tama_ma_ma |  2008.04.27(日) 21:07 | URL |  【編集】

No title

まめねこさん♪こんばんは~~
美人3姉妹の長女が牡丹でしょか?違うか??
昨日もみて今日もまた沢山見てきました。
牡丹牡丹牡丹してます~~~σ(^◇^;)。。。あはっ
クランベリー色もあったよ(^_-)☆
tama_ma_ma |  2008.04.27(日) 21:09 | URL |  【編集】

No title

よっしーさんのお庭にも牡丹が咲いてるんですね。
華やさと雅さを併せ持つお花ですよね・・牡丹。
私も毎年この花の開花を楽しみにしています^^
tama_ma_ma |  2008.04.27(日) 21:12 | URL |  【編集】

No title

nonさん♪今日もまた奈良まで出かけて牡丹見てきました。
うんと早起きして行ったのですよ~~
牡丹は午後になるとぐさっとした感じになっちゃいますねえ。
少し熟れすぎた美女??そんな風・・・
やはり咲き初めが美しいです^^
tama_ma_ma |  2008.04.27(日) 21:14 | URL |  【編集】

No title

トヨさん、梅そして桜それから木蓮、花水木
そして牡丹・・藤。。。
お花に追いかけられて今年の春も足早に行ってしまいそうです。
ありがとう☆。.:*:・'゜
tama_ma_ma |  2008.04.27(日) 21:17 | URL |  【編集】

No title

こんばんは^^
此方もきれいですね (*^^)v
何時見ても 豪華なお花ですね
chiyoko-mimi |  2008.04.27(日) 23:13 | URL |  【編集】

No title

mimiさんこちらにもコメントありがとうございます。
やっと種を送らせていただきました。
詳細は今夜にでもメールさせていただきますね^^
いつもありがとうございます。
tama_ma_ma |  2008.04.28(月) 20:21 | URL |  【編集】

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